土木工事

【マンホール】総延長100mの下水道管設置 推進工事からマンホール設置までの全貌

下水道管設置工事(推進工法) ― 新潟県新発田市

今回紹介するのは、新潟県新発田市で実施された下水道管設置工事です。
設置する下水道管の直径は300mm、施工深度は舗装面から約4m。
深度が大きいため、開削(掘り下げて施工する方法)ではなく、地中を掘り進めながら管を押し込む推進工法(アイアンモール工法)が採用されました。

総延長は100mを超える長区間のため、途中に中間立坑を築造し、そこから両方向へ推進を行っています。
本記事では、低耐荷力推進工事(アイアンモール工法)およびマンホール設置工事の工程を紹介します。

1. 立坑準備と測量

 

まず、立坑を覆っていた覆工板を撤去し、転落防止柵を設置します。
その後、測量を行い、下水道管の通り(法線)を正確に確認します。立坑内で張った水糸(1mm幅の糸)を測量器の望遠鏡で覗き、数十メートル先の到達点まで正確に誘導します。
1mmのズレが将来の水流に影響するため、高精度な測量が重要です。次に推進機械を荷下ろしし、ガードマンや監視員を配置して歩行者や架空電線、周辺環境への接触がないよう慎重に設置します。

2. 安全設備と圧入準備

 

立坑の底部には昇降用の梯子を固定し、作業員が安全に上り下りできるよう転落防止の安全帯を使用します。さらに送風機による換気を行い、酸素濃度測定器で安全を確認します。

次に、下水道管の圧入位置に合わせてケーシング(厚さ12mm、直径2m)に開口を行います。ガス切断で450〜500mmの穴を開け、ガイド枠を溶接して位置を固定します。

掘削機を押し出すためのジャッキを設置し、前後の脚を突っ張って固定します。底部の固定ジャッキと掘削機を押す上部ジャッキの2種類を油圧で制御します。

3. 掘削機の組立と推進作業

 

圧入掘削機を立坑に降ろし、測定器や配線・配管を接続します。この掘削機は分割構造となっており、狭いマンホールなどにも対応できる設計です。

推進作業では、1本あたり1mの下水道管を次々に圧入していきます。管の内部には操作ケーブルや油圧ホース、排泥管などが通り、掘削機の先端にある回転刃が土を削り取り、羽根付きの排泥管で土砂を送り出します。

排出された土砂はバキュームカーで吸い上げられ、建設汚泥として契約済みの処理場へ運搬します。

4. マンホール設置工

 

下水管の推進が完了すると、マンホールの設置作業に入ります。今回は内径1.2mの2号マンホールを設置しました。覆工板を外して中心位置を出し、底版・管取付け壁・側壁の順に設置します。部材には下流方向を示すマーキングが施され、管の接続位置と角度を事前に加工してあります。

吊り上げは専用治具による4点吊りで行い、ワイヤーがコンクリートを傷つけないようにします。各部材の継ぎ目は止水ゴムとコーキングで防水処理し、外側は金具で固定します。

内部では、推進で設置した管と接続するために可とう継手(地盤沈下や地震の動きに対応するゴム製ジョイント)を取り付けます。空隙部は止水粘土で充填し、止水性を高めます。

5. 間詰めコンクリートと仕上げ

 

マンホールの周囲は道路面下約1.5mまで間詰めコンクリートを充填します。通常は改良土で埋め戻しますが、今回はスペースが限られていたため、発注者の承諾を得てコンクリートで施工しました。コンクリートの落下による材料分離を防ぐため、ホースを使用して吐出口を下げ、自由落下を防止しています。打設後は覆工板を再設置し、コンクリートの硬化を待って次の工程へ進みます。

6. ケーシング切断と上部構造の組立

 

次に、道路面から1.5mの位置までケーシングを切断します。この範囲は将来的にガス・水道・電力・通信などの埋設管工事に影響しないよう、砕石と土で埋め戻す必要があります。作業効率を上げるため、ガス切断ではなくランス切断を使用しました。酸素反応による高温(約4000℃)で鉄を溶かし切断する方法で、水分や土砂が多い現場でも効果的に施工できます。

その後、直壁・斜壁・高さ調整リング・鋼製マンホール蓋を設置し、ケーシングを撤去します。撤去後は崩落を防ぎながら慎重に埋戻しと転圧を行います。

7. 仮舗装と完成

 

最後に、周囲を道路と同じ構成で仮舗装します。マンホール蓋の高さは道路勾配に合わせ、発泡ウレタン型枠と硬化型充填剤(ハイジャスター)で固定します。路盤を転圧し、110℃以上を保ったアスファルト合材で舗装を行います。施工中は温度計で管理し、硬化が進むまで誘導員を配置して安全を確保します。これで、推進工法による下水道管設置とマンホール工事が完了しました。

まとめ

今回の工事では、

深度4m超の下水道管を推進工法で施工
高精度な測量と安全管理
止水性・耐震性を確保した構造設計
限られた空間での効率的な排泥・埋戻し

といった高度な技術が求められました。

地中で行われる見えない作業が、地域の生活を支える下水道インフラの基盤です。
表からは見えない場所で働く技術者たちの努力が、日々の安心と快適な暮らしを支えています。

提供
株式会社 石田建設
〒957-0072
新潟県新発田市日渡103番地
https://ishidakensetsu.co.jp/recruit-sp-lp

編集後記

「成長」

日々当たり前のように使われている電気、水道、道路。
その裏には、建設業の職人たちの技術と努力がある。
高度な技能を持つ彼らも、かつては素人だった。
一人前になるまでには、先輩の背中を追い、繰り返し学んでいく時間がある。

時代とともに教え方は変わっていく。
「見て覚えろ」が当たり前だった時代から、今では丁寧に言葉と手順で伝える姿が主流になった。

現場を記録し始めて約1年。
撮影を重ねるうち、休憩中も自然と職人たちと同じ空間で過ごすようになった。
当初は戸惑いながら作業していた若者が、今では責任ある工程を担っている。
変化の背景には、本人の努力がある。
そして、その努力を支える仲間たちの根気強い指導と信頼も欠かせない。

成長とは、少しずつ任される仕事が増え、信頼される重みを知り、自らの足で立っていく過程。
人はそうして職人になっていく。

かつて「3K(きつい・汚い・危険)」と揶揄された建設業。
いま、その姿は大きく変わりつつある。
徹底された安全管理、整備された労働環境。
成長できる土壌が、確かにここにある。

建設業の未来は明るい。
そう確信させてくれる現場だった。

videographer hirozo

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